ロイコクロリジウムQ&A
生体展示を実施したロイコクロリジウムについて、よく聞かれる質問とその回答をまとめました。
【2021.07.08】作成
【2023.07.13】改訂
Q1.ロイコクロリジウムの生活史を教えてください。
A1.次の図をご覧ください。
Q2.ロイコクロリジウムに性別はありますか?
A2.他のほとんどの吸虫と同じく、雌雄同体です。
Q3.ロイコクロリジウムの寿命はどれくらいですか?
A3.幼虫・成虫とも寿命は分かっていません。いずれも、先に宿主が死んだ場合はそれとともに死んでしまいます。逆に、生きた宿主体内でロイコクロリジウムが先に死んでしまう可能性もあります。
Q4.ロイコクロリジウムの幼虫はどんな貝に寄生しますか?
A4.幼虫はオカモノアラガイ科の陸生巻貝にのみ寄生が確認されています。
Q5.ロイコクロリジウムの成虫はどんな鳥に寄生しますか?
A5. 成虫は、主にスズメ目やチドリ目の昆虫食の鳥に寄生することが報告されています。
Q6.展示の(2024年)ロイコクロリジウムの幼虫は何という種ですか?
A6.色や模様は東北地方で見つかったLeucochloridium sp.に似ていますが、種の決定には今後の研究が必要です。
Q7.ロイコクロリジウムの幼虫には、他の色や模様のものもいますか?
A7.褐色の横じまを持つもの(L. perturbatum)、緑色の横じまを持つもの(L. paradoxum)や、緑色の横じまと赤色の縦じまを持つもの(L. passeri、2021年展示)などが知られています。
Q8.ロイコクロリジウムは一日中動いているのでしょうか?
A8.昼間は触角の中で活発に動きますが、夜暗くなると引っ込んで動かなくなります。触角へ移動するメカニズムや、どのように動くかはまだ分かっていません。
Q9.「ロイコクロリジウムはオカモノアラガイの動きを操る」というのは本当ですか?
A9.より遠くまで移動する、より明るい場所に居る、より高い位置に居るなど、行動に影響するという研究はあります。これにより、終宿主である鳥に見つけられやすくなると考えられています。
Q10.ロイコクロリジウムの幼虫が寄生したことによる、宿主への影響は他にありますか?
A10.行動の変化以外の影響を明らかにした研究はなく、感覚や食欲、寿命などへの影響も未検証です。ただし、ロイコクロリジウムの幼虫が大きくなると、オカモノアラガイの体に負担がかかるので、寄生されていないものより早く死ぬかもしれません。
Q11.ロイコクロリジウムが鳥に食べられるとき、鳥はオカモノアラガイの触角だけをついばむのですか? 貝ごと食べるのですか?
A11.食べられる瞬間はまだ観察されていないので、よくわかっていませんが、貝と鳥のサイズにも影響すると思われます。
Q12.ロイコクロリジウムに寄生されたオカモノアラガイは、どこを探せば見つかりますか?
A12.今までの発見例では北海道と沖縄で多く見つかっているようですが、ピンポイントではお答えできません。オカモノアラガイはロイコクロリジウムの卵が入った鳥の糞を食べて感染するので、宿主となる鳥とオカモノアラガイがたくさん生息する地域では見つかる可能性が高いかもしれません。
Q13.同じように“宿主を操っている”と言われているような寄生虫はありますか?
A13.例えば、ハリガネムシの幼虫は、寄生したカマキリが水面から反射する光に誘引されるよう操作して、水に飛び込ませます。槍形吸虫の幼虫は、寄生したアリを操作して草の先にかみ付かせ、アリが草と一緒に牛や羊に食べられるようにします。こうして新しい環境で成虫になります。
当館展示のロイコクロリジウム幼虫(YouTube動画)
2024年7月から展示中(Leucochloridium sp.)
2021年6月から9月に展示(L. passeri)
2023年4月から7月に展示(Leucochloridium sp.)